小説
らき☆すた
「柊かがみの怒声」
それは、とある日の休日のことだった。
中学時代の級友の谷山と国林偶然再会したかがみは近くの喫茶店に誘われ、共に入ることにした。
特に仲が良かったわけでもないが別に悪かったわけでもなく・・・。
単に昔のクラスメート数人が集まったからという実に単純な理由だ。
「そういや柊さんはどこに入ったっけ?」
「妹のつかさちゃん元気?」
「恋人とかできたの?」
いきなり質問攻めにあうかがみ。
「べ・・・別にいないわよ・・・!!」
「へぇ・・・そっか。」
谷山はつまんないといった今のかがみにとってどうにもできない反応をとる。
それでもかがみは律儀に質問を一つずつ片していこうとする。
「学校は陵桜よ?言わなかったっけ?」
それを言うと彼女たちは思い出したように相槌をとる。
「そういえばそうだっけ?じゃあ、アレと一緒なんだ?」
「アレ?」
アレというワードに首を傾げるかがみ。
どうにもそんなに同情した顔をされるような人物が自分の学年にいたとは思えなかった。
「アレよ泉・・・オタクの泉こなたよ・・・!!」
「は?」
めちゃくちゃ心当たりのある名前に驚くかがみ。
「かがみ知ってる?泉こなた!!」
「えぇ・・・まぁ・・・。」
あまりに突然の展開に動揺するかがみ。
明らかその泉こなたを親友に持つ柊かがみに対しては芳しくない雰囲気だ。
「やっぱり!!アイツいちいちうるさかったもん小学校の頃から・・・。」
「でも、あんた私と同じ学校なのになんで知ってんの?」
話を無視し、かがみは一番の疑問であるそこに着目した。
「へ?あぁ噂よ噂!!その中学に通う友達からのね・・・。」
「へぇ〜噂・・・。」
かがみの眉がピクリと動いた。
それ以外はどこも動くことはない。
「全く話すことと言ったらアニメやゲームの話ばっかりでしかも全部男子とかがすきそうな美少女とかが出てくる今で言う萌え〜だっけ?あんな感じばっかりのやつばっかりでキモイといったらありゃしない!!」
「そうなの?」
「うん・・・!!友達から聞いた!!」
「・・・・」
かがみは何も言わず黙って聞いていた。
「妙に先生とかに馴れ馴れしかったわね?確か先生がなんかのアニメかゲームが好きなんだっけ?それだけで過剰反応・・・とかって言ってたわ!!」
「へぇー・・・ホントにゲームが好きなんだね?」
谷山がオーバーと言えるほどの悪口を駄弁るのを国林が若干流しながらやってきたフライドポテトをつまんでいる。
かがみは拳を作りながら、ただただ黙ってそれを聞いていた。
口を開くと・・・何を言うか分からなかったから・・・。
そんな時だった・
カランカランという音とともに入って来たのは今話の真っただ中にいる泉こなたと従妹のゆたかだった。
手前にいる谷山たちは全くその存在に気付くことはない。
かがみは視線を逸らす。
こなたはゆたかに話すばっかりで気づくことなく席につく。
その場所はかがみ達の席の斜め二つ前でこなたはこちら側に背を向けている。
普通に会話とか聞こえてくる範囲だ・・・。
かがみに冷や汗が流れる・・・。
かがみはこの状況を打破しようとようやく口を開いた。
「ねぇ・・・話題変えな・・・」
「そう、泉こなたの珍伝説は他にあるの!!」
見事に遮られた。
それほどまでに谷山の声は凄まじく大きかった。
その声にピクリと肩を震わせたこなたに気付く。
「なんか、メイド喫茶みたいなところでお金稼いでるんだって!!」
「メイド喫茶・・・?」
隣の国林が首を傾げる。
「さぁ私もよく分かんないけどキャバクラの派生した感じじゃないの!!」
「それは言いすぎなんじゃ・・・」
「ここまで堕ちたかと思ったわよ・・・。まさか高校生の身分で自分からあんな衣装着て男をはべらしてるなんて・・・キモいとかそんなの通り越して笑えてくるわ・・・。」
見ると、ゆたかがいつもでは見ることのない機嫌の悪い顔をしている。
幸い手前の谷山ばかり見ていてかがみには気付いていないようだが・・・。
こなたは気にしないようにゆたかに積極的に話しかけている。
こなたもゆたかがいる場面で必死に耐えているのだろう・・・。
「全くあんたには同情するわよ?あんなのと同じ空間に3年間も一緒にいたんだから・・・」
その言葉にかがみの堪忍袋の緒がプチンと切れた。
それと同時にかがみは凄い剣幕で立ちあがった。
突然のことに驚く谷山・・・。
ただただ聞いていただけの国林は当然の成り行きのように顔色をちっとも変えることがない・・・。
「ど、どしたの?」
「バカじゃないの?というか噂だけでそこまで妄想できるあんたが凄いわ!!」
「かがみ・・・。」
「かがみさん・・・。」
静まる店内・・・。
そして、呆気にとられる谷山・・・そしてこなたとゆたか。
「そういえば質問の答えがまだだったわね!!つかさは元気!!泉こなたは知ってるも何も私の親友!!あんたの言う少しダメなところもちょっとはあるけどあんたみたいに人の上げ足ばかりとってバカ笑いしてるようなみみっちいやつよりは100倍いい奴よ!!」
それだけ言っていくとかがみは荷物は手早に取ると二人に挨拶もなしにそこから立ち去った。
「行くわよこなた、ゆたかちゃん!!」
「う、うん・・・。」
幸いにもまだ注文を取ってなかったためスムーズに店を出ることができた。
「あースッキリしたぁ・・・。」
怒鳴り散らしたかがみはさっきとは別人のようにすがすがしい表情となっていた。
「かがみさんかっこ良かったです!!それに・・・嬉しかったです!!」
「へ?」
瞳に感動の涙を浮かべながら言うゆたかにかがみはさっき自分が言った言葉を思い返した。
結構本人の前では恥ずかしいことを言った記憶が脳裏に蘇りたちまち赤くなった。
「まぁそれは勢いで言っちゃっただけで別に感動されることじゃ・・・」
「でも嬉しかったです!!お姉ちゃんのことそんな風に思ってもらえて・・・!!」
かがみの言い訳をものともしない純粋なゆたかの発言に押し負けるかがみ・・・。
「いやいや・・・?かがみんの愛は私には痛いほど伝わったよ!!私ノンケだけど一晩くらい付き合ってあげてもいいよ?」
「バカなこと言ってんな!!」
こなた突然のお誘いにかがみは更に顔が紅潮し声が大きくなってしまう。
「かがみん、トマトみたいなお顔だね?」
「それは私が丸いとでも言いたいのか?」
「いや・・・誰もそんなこと言ってないじゃん・・・?」
まさかの返しにこなた自身もちょっと焦ってしまった・・・。
「まぁいいわ!!大声出したらお腹空いたしどこか入る?」
「あ、私この前美味しいアイスクリームのお店見つけましたよ?」
「いいわね!!そこにしましょう!!」
「グフフフ成程?そこがゆーちゃんとみなみちゃんのデートスポットなわけですな?」
「デートって・・・いやそーじゃなくて!!」
必死に否定をしようとするゆたかではあったが従姉の前ではその言葉さえも霞んでくる。
「あ、私この後近くでやるイベントに行くんだけどかがみも来る?」
「なんのイベントよ?」
「コスプレライブ2008in秋葉原!!実は時間つぶしにゆーちゃんに付き合ってもらってたの!!」
「全くあんたは・・・けどまぁ今回は付き合ってあげるわよ?」
かがみは少し否定的な言い方をするものの少しも嫌そうな顔をせず笑ってそう言った。
意外な反応に驚くこなたを尻目にかがみはどんどん先に行く。
妙に機嫌のいいかがみをこなたも妙に嬉しく思い、またかがみを追いかけて歩いた。
そしてつかさも誘ってコスプレライブとやらに4人で赴いた。
それをかがみが後悔したかしなかったかはまた後のお話・・・。
ちなみに谷山はかがみのすぐ後に店を出た国林の分の代も払う羽目になるが持ち合わせがなくどうしようかと閉店時間になるまで逃げる機を伺っていたとかいなかったとか・・・。
あとがき
どもぽちゃです。
短編第2弾です!!
これを短編と言うのなら他のやつもかなりそれに含まれる気が・・・
気にしない!!
ということでかがこな?を書いてみた。
前から書いてみたかったエピソードの一つです。
ゆーちゃんはおまけです!!
基本的にゆーちゃん好きなんだよね?
谷山と国林は某憂鬱アニメのキャラの二人をモデルにしました・・・。
しかし、こなたを悪く言わせるのには困った・・・。
だから少しオーバーに言ってみた。
気分害された方はごめんなさい
じゃ、また!!